今日は認知症予防についてのお話をさせていただきたいと思います。
軽度認知障害(MCI)は認知症ではありませんが、完全に健康な状態でもありま
せん。認知症になる前の段階の症状で、日常生活は問題なく送れます。
定義としては、「本人または家族による記憶障害の訴えがある・健常高齢者に比較
して記憶が低下している・全般的認知機能は概ね正常である・日常生活上問題なし・
認知症ではない」となります。最近の研究ではMCIの段階で適切な介入を行えば、認
知症の発症を予防または遅らせることが分かっています。
認知症で一番多いのはアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)です。アルツ
ハイマー病は発症する20年近く前から、原因物質である“アミロイドベータペプチ
ド”(Aβ)が脳内に少しずつ蓄積することによって起こります。
Aβは、神経細胞にダメージを与え、記憶や認知機能を担うシナプスの機能を阻害
すると言われています。
私たちの体にはAβが脳内に蓄積しないよう排除する仕組みが備わっています。こ
れには、脂質代謝に関連する“アポリポタンパク質”や免疫機能の“補体タンパク
質”が関係していると言われています。Aβを排除するようなタンパク質や、免疫
機能に由来するタンパク質の量を調べることで、MCIやアルツハイマー病のリスク
をある程度知ることができます。
この検査は、アルツハイマー病の原因物質であるAβを「脳内から排出」したり
Aβの「シナプス毒性に対して防御」する働きのある3種類の血液中のタンパク質
(ApoA1, TTR , C3)の量を調べています。これらタンパク質の量が少なく、その働
きが低下している場合、Aβが脳内に蓄積しやすくなり、シナプスに対する毒性を
防御できなくなることがあります。その結果、MCIやアルツハイマー病のリスクが
高まると言われています。
当院では採血にてMCIか否かを判定するMCIスクリーニング検査を行っております。詳し
くはお電話でご確認ください。
中田こころのクリニック 院長