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行ってはいけない物忘れ外来

今回は、申し訳ないけど風刺的なことを書かせてもらいます。物忘れ外来を標榜しているクリニックはたくさんありますが、このようなところには行っってはならないと思います。

 

まずは、MMSEをして認知症の程度を点数で評価し、その後は近隣の大きな病院で頭部MRIを撮影し、所見として『脳が萎縮しています。進行を遅らせる目的でお薬を出します』といい(高齢者の脳はだいたい萎縮しています)ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬を投薬し、その後もずっと投薬を続け、何か問題が起こっても『もう高齢だから』というだけで何の対策も助言もない。

 

そんな物忘れ外来は行っても仕方がありません。

 

なぜなら、「人間そのものを診てこその医療」だからです。認知症の進行は脳だけの問題ではありません。筋力低下から転倒するかもしれません。嚥下機能が低下して肺炎を起こすかもしれません。家にこもりがちになり、活気がなくなり、老年期うつ病とされるかもしれません。

 

物忘れ外来とは、その人全体を見て、脳の萎縮や血管病変だけでなく、「その人らしさ」のある老後を送ることを援助することにあると思います。そういう意味では、認知症やその周辺症状を見るだけでなく、老化に伴う身体合併症をきちんと予測し予防しないと通院する意味がないと思います。極端な例ですが、物忘れをしっかり予防しても、寝たきりになり老人ホームに入っても『認知症を予防した』といえるのでしょうか。

 

 

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