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内科と心療内科と精神科の違い

当院は心療内科 精神科を標榜しております。内科とつくからには身体症状に起因する疾患の知識は必須です。身体疾患の発症には、生物学的な要因と環境的な要因の両方が関係します。様々な身体疾患において、ストレス要因が強いほど、発病率が増加し、治療反応も悪くなりやすいことが知られています。強いストレス要因に長期間さらされると、うつ病などの精神的不調を生じることがありますが、たいていの場合、その前段階として身体的不調が現れます。

 

 

その代表が頭痛、めまい、動悸、息苦しさ、震え、全身のしびれや痛み、便秘・下痢などのいわゆる自律神経症状と呼ばれる症状です。ストレス要因に対して、まずは身体が反応して、自律神経の過緊張状態が引き起こされ、そのまま放置されれば精神的不調に移行するかもしれないという警告が出ている状況にあると言えます。このように、精神状態と自律神経系機能、言い換えれば、こころとからだは密接に連動しており、切っても切り離せない関係にあります。心療内科とはこのような状態の治療をする仕事です。

 

 

では、こころの問題を扱う診療科として、どんなところがあるのでしょうか。総合病院や医院・クリニックに様々な診療科名が標榜されていて、受診される方にとっては非常にわかりにくい現状があります。「心療内科」「精神科」「神経科」「精神神経科」「メンタルクリニック」「こころのクリニック」等々枚挙に暇がありません。では、心療内科医と精神科医の違いは何でしょうか。

 

 

心療内科医は、元々身体的疾患の診断と治療を専門としながら、こころの問題に十分配慮しながら診療を進めている医師であり、精神科医は、元々精神障害の診断と治療を専門としながら、身体的な問題に配慮しながら診療を進めていくことができる医師です。両者ともベースは異なっていても、心身相関の問題を扱う点では共通しており、この領域に十分精通しています。例えば、一口に内科医と言っても、それぞれ得意とする専門分野があるように、心身医学に関わる疾患の診断や治療も、その内容に応じて、それを得意とする精神科医、心療内科医のどちらでも対応が可能であると考えています。

 

 

一例を挙げると、慢性疼痛に長年苦しんでおられる方がペインクリニックから精神科に紹介されて、「痛みを精神的な問題として片付けられた」とショックを受けている場合がありますが、精神科医であっても、心身相関の観点に立った治療を得意としている医師は少なくありません。ですから、あまり表面的な標榜診療科名にとらわれず、自分が苦しんでいる問題の解決に向けて最も適切な医師を紹介してもらう、あるいは探すことが大事ではないでしょうか。

 

 

診療が医師と患者さんとの間の共同作業であることを念頭に置きながら、お互いに尊重し合える関係を保ちたいと願いながら、日頃、診療に携わっていきたいと思います。

 

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