今回は適応障害についてのお話です。いきなりですが、私は適応障害という言葉は好みません。なぜなら社会不適合者のような印象を与えてしまうからです。実際、誰でも、苦手はあるでしょう。新しい環境に適応するまでは時間がかかったり、成功体験などを積み重ねて少しずつ適応するものですので、生まれ持った不適合者のような印象を与えてしまう適応障害という呼び名は好みません。ですのでタイトルにも(仮)をつけました。
適応障害とは、ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)によると「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。ストレス因は、個人レベルから災害など地域社会を巻き込むようなレベルまで様々です。
また、ある人はストレスに感じることがほかの人はそうでなかったりと、個人のストレスに対する感じ方も大きな影響を及ぼします。つまり適応障害とは、ある生活の変化や出来事がその人にとって重大で、普段の生活がおくれないほど抑うつ気分、不安や心配が強く、それが明らかに正常の範囲を逸脱している状態といえます。
さらに、ICD-10の診断ガイドラインを見ると、「発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない」とされています。
これって、平たく言うと、5月病ですよね?新しい仕事、人間関係に慣れるまで、しばらくはしんどい想いをするという状態です。新社会人、または高校や大学に進学された方々が出勤や登校に憂鬱な気分を感じたり、出勤前に吐き気や頭痛を感じた時は、このような状態の可能性があります。
しかし適応障害と診断されても、5年後には40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されています。つまり、適応障害は実はその後の重篤な病気の前段階の可能性もあるといえます。そのうち良くなるケースもありますが、自己判断や自己診断で経過観察しているうちに重篤なケースにならないようにお願いします。