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脳ドッグに行ったから大丈夫?

当院に来院される方で、明らかな身体疾患がみられる方でも、「毎年健康診断をうけてて大丈夫と言われた」「人間ドッグでも年相応と言われた」といい、身体疾患はないからストレスによるものと自己診断されている方が多くみられます。

 

 

確かに健康診断を受けることは大切かもしれませんが、自覚症状のない人から病気を発見するのは、ある程度熟練した医師ではないと困難なのは言うまでもありません。

 

 

今回は、認知症の原因について、身体疾患はこんなに多く考えられるという報告です。健康診断や脳ドッグでは生活習慣病に起因する疾患を主に検査しますので、この全てを網羅することはできません。ご本人の生育歴 生活歴 病的変化の時期 基礎疾患を加味しフローチャート式に診断が必要と考えています。

 

 

認知症を引き起こす原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。このように脳そのものが障害される疾患ばかりではなく、脳以外の身体疾患によっても認知症が引き起こされることがあります。

 

 

1. 神経変性疾患

アルツハイマー型認知症、ピック病、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、脊髄小脳変性症、皮質基底核変性症など

 

 

2. 脳血管障害

脳梗塞、脳出血など

 

 

3. 頭部外傷

脳挫傷、脳内出血、慢性硬膜下血腫など

 

 

4. 悪性腫瘍

脳腫瘍(原発性、転移性)、癌性髄膜炎など

 

 

5. 感染症

髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、進行麻痺、クロイツフェルト・ヤコブ病など

 

 

6. 代謝・栄養障害

ウェルニッケ脳症、ペラグラ脳症、ビタミンB12欠乏症、肝性脳症、電解質異常、脱水など

 

 

7. 内分泌疾患

甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、副腎皮質機能低下症など

 

 

8. 中毒性疾患

薬物中毒(向精神薬、ステロイドホルモン、抗癌剤)、アルコール、一酸化炭素中毒、金属中毒など

 

 

9. その他

正常圧水頭症、低酸素脳症など

 

 

個人的な雑感ですが、このほかに、複数の医療機関にかかっており、たくさんの内服を投与されていて、薬剤性のせん妄による意識障害を来していて、一見認知症に見えるだけという方が非常に多い現状です。あと糖尿病や高血圧などの基礎疾患の治療不十分例が多いです。

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