生物学的に見ると、パニック障害には3つの神経伝達物質が関係していると考えられています。それは、
- セロトニン
- ノルアドレナリン
- GABA(ɤアミノ酪酸)
です。
パニック障害において脳のセロトニンが不足しています。パニック障害にはセロトニンを増やすお薬であるSSRIが良く効きますが、これもパニック障害でセロトニンが不足していることを証明する一つの根拠になります。
しかし一方でセロトニンの過剰も不安を増強するという指摘もあります。少なくともセロトニン量が適正であることが不安の改善には良いのでしょう。
GABAもパニック障害には関係しており、GABAのはたらきが弱まると不安が強くなることが指摘されています。抗不安薬(安定剤)はGABAの増強が主な作用機序ですが、抗不安薬がパニック障害に良く効くのも、ここに理由があります。
また、パニック障害においてはノルアドレナリンが発作の一因であることが言われています。脳の青斑核に存在するノルアドレナリン性の神経が活性化し、発火頻度が高くなるとパニック障害が起こりやすくなると考えられています。
α2受容体拮抗薬(ヨヒンビン)というお薬はα2受容体を遮断することでノルアドレナリンの濃度を上げますが、これはパニック発作を起こしやすくすることが知られています。
反対に、α2受容体作動薬(カタプレス)は、α2受容体を刺激することでノルアドレナリンの濃度を下げますが、パニック発作を抑制することが知られています。
神経学的にみると、パニック障害では、扁桃体や海馬、帯状回などが過活動になり、前頭前野の活動が低下すると報告されています。これらの部位は不安や恐怖の神経回路だと言われています。
なんらかの原因で恐怖・不安神経回路が過活動になってしまうと、パニック障害が発症するのではないかと考えられます。